和本の修復前(左)と裏打ちによる修復後(右)新聞を相剥ぎし、中打ちを施します。 多くの虫食いが生じている など対象:綴じが傷んだ洋装本 など変動に注意することが重要 日常的な点検作業も大切劣化(虫損、欠損、黴)した本紙を裏側から料紙で糊付けする方法です。和本の修復に多く用いられるが額装や軸装に仕上げる場合、必須の処理です。粘蝶装や列葉装、また紙背文書など両面書きの本紙の表裏を剥離(相剥ぎ)し、内面に料紙を糊付けする方法です。剥離した表裏に漉き繕いを施すこともできます。虫損部分に、本紙と同様の繊維を漉いて埋める方法です。欠損部分にのみ漉き込む為、本紙の厚みが変化せず、風合いがもとのままの状態をとどめることができます。P159をご覧ください。お気軽にご相談ください。せない手段の一つ・ 毎葉(一枚もの)資料は、製本資料よりも取扱い時に十分な注意が必要となる →資料を透明なシートに封入すること(エンキャプスレーション)で、透明シートが 紙全体を支持し、利用の際の負荷を大幅に軽減できる ただし、酸性紙をそのままシートに封入すると紙自身から発生する酸性成分によって劣化が促進されるので、必ず脱酸処理を優先させる■資料を永く利用、保存するための方法と対策修復対象:本紙が脆弱、製本(綴じ)が分解している・強化(裏打ち・リーフキャスティング等)・洗浄(湿式・乾式)・脱酸(水性・非水性)・修復の規模により、価格の幅がある再製本・「保存製本(修復製本)」修復しつつ、製本の特徴を維持する・資料の歴史的価値を損なわない保存箱・保管庫・中性紙の保存箱や扉付き保管庫・温湿度の変化、汚れの付着、 光による劣化を防ぐ・資料に脱酸処理を施すと、 保存効果がより高まる脱酸(脱酸性化)処理・ 1850〜1980年代に製紙された洋紙は「酸性劣化」する恐れがある・ 紙を長期的な保存に適した性質(アルカリ性)に変化させる処理を行う・ 処理後、紙の寿命はそれまでの数倍(一般に3〜5倍)になり、 紙の柔軟性も維持される・ 脆弱化した紙を復元させる技術ではないので、すでに劣化が進行し、 ページをめくると紙が割れてしまうような紙には効果が期待できない・ 今後の劣化が予想される洋紙には、早めの脱酸処理をお勧めします温湿度環境・湿度65〜70%を超えると、カビや害虫が発生しやすくなる・湿度が低すぎると、紙が乾燥して劣化する・湿度の変動が大きいと、乾漆が紙を劣化させる→ 書庫内に温湿度計やデータロガー(自動記録装置)を設置し、■紙資料における修復の方法資料の修復は形態構造、或いは劣化状態や保存形態に応じた方法を用いることが大切です。160害虫管理・虫害や発黴の防止→ 「くん蒸処理」+「IPM(総合的有害生物管理)」・ IPMとは…有害生物の種類、繁殖原因、活動範囲などを調査し、それぞれに有効な回避、殺虫、殺菌技術を組み合わせて対策する管理方法。博物館などで多く実施されている。補修対象:表紙、背、本紙の破れや亀裂など・和紙と正麩糊を用いる・和装本の綴じ糸の切れや緩みを直す・修復と違い、必要な個所のみ行う・完全な処置ではないが、資料の保存性や利用性が高まる取扱いの向上・媒体変換・ 媒体変換やレプリカ製作は、原物資料の保存に欠か保存方法裏打ち中打ち漉き繕い
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